メラノーマ患者をモニターするために、循環するエクソソームPD-L1の進展を追跡する

Tracking the evolution of circulating exosomal-PD-L1 to monitor melanoma patients

免疫療法の時代には、個別化された治療を促進し、治療効果を予測するために、循環バイオマーカーの使用を臨床に導入することが急務となっています。我々は、メラノーマ患者の追跡調査における循環エクソソームPD-L1の有用性を評価するため、前向きな研究を行った。100人のメラノーマ患者から採取したエクソソームPD-L1の動態を、酵素結合免疫吸着法を用いて調べました。その結果、PD-L1はメラノーマ細胞からエクソソームを介して分泌されることがわかりました。PD-L1を含むエクソソームは、T細胞の活性化を阻害する能力が、エクソソームの元となるがん細胞と同等であることから、免疫抑制効果があると考えられた。メラノーマ患者の血漿中のPD-L1レベル(n=30、中央値64.26pg/mL)は、可溶性PD-L1レベル(n=30、0.1pg/mL)と比較して、エクソソーム中で有意に高かった。さらに、エクソソーム中のPD-L1はすべての患者で検出されたが、腫瘍生検でPD-L1が陽性だったのは67%にすぎなかった。ベースラインのexosomal-PD-L1レベルは、臨床病理学的特徴とは関連していなかったが、治療後の変化(ΔExoPD-L1)は、治療に対する腫瘍の反応と相関していた。ΔExoPD-L1のカットオフ値を100以上と定義したところ、病勢進行に対する感度は83%、特異度は70%、陽性予測値は91%、陰性予測値は54%となった。このカットオフ値を用いることで、全生存期間と無増悪生存期間が統計的に異なる2つの患者群に層別化することができました。循環エクソソーム中のPD-L1レベルは、腫瘍生検でのPD-L1発現よりも信頼性の高いマーカーであると考えられます。循環エクソソーム中のPD-L1のモニタリングは、治療に対する腫瘍の反応や臨床転帰の予測に有用であると考えられます。

※H.U.グループ中央研究所では、Exosome研究にも注力し活動しています。詳しくは弊社HPをご覧ください。

https://www.hugp.com/research/exosome_JA.html

著者名

Marine Cordonnier, Charlée Nardin, Gaëtan Chanteloup, Valentin Derangere, Marie-Paule Algros, Laurent Arnould, Carmen Garrido, François Aubin, Jessica Gobbo.

文献名

J Extracell Vesicles. 2020; 9(1): 1710899.

URL

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1080/20013078.2019.1710899

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