日本人を対象とした腸内細菌叢のタイピング

Typing of the Gut Microbiota Community in Japanese Subjects

腸内細菌叢は宿主の健康と疾患の両方に関与しており、その組成にもとづいて宿主を送別化することができる。

しかし、アジア人に関する腸内細菌叢のクラスタリングデータは限られている。本研究では、283人の健常者を含む1,803人の日本人の腸内細菌叢を16SrRNAシーケンスで解析し、2つのモデルを用いてクラスタリングを行った。また、様々な疾患と各コミュニティタイプとの関連も評価した。

PAM(partioning around medoids)およびDMM(Dirichlet multinomial mixture)モデルを用いて、それぞれ5と15のコミュニティが同定された。PAMで同定されたタイプの中で特に高い存在度を示した細菌は、Ruminococcaceae科(タイプA)、Bacteroides属、Blautia属、Faecalibacterium属(タイプB)、Bacteroides属、Fusobacterium属、Proteus属(タイプC)、Bifidobacterium属(タイプD)、Prevotella属(タイプE)であった。日本人では、Bifidobacteriumの多いコミュニティが特徴的である。また、健常者割合が最も多いE型に基づくオッズ比から、他の型(特にタイプA、タイプC、タイプD)は炎症性腸疾患、機能性胃腸障害、生活習慣病などの様々な疾患と高い関連性があることが明らかになった。腸内細菌叢のタイピングにより、日本人特有の腸内細菌叢型(エンテロタイプ)と考えられる菌種を再現性よく同定し、欧米人の腸内細菌叢型(エンテロタイプ)とは一部異なっていた。

著者名

Tomohisa Takagi,et al.

文献名

Microorganisms.2022Mar;10(3):664.

URL

https://www.mdpi.com/2076-2607/10/3/664

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