統合失調症における腸内細菌叢のメタゲノムワイドな関連性

Metagenome-wide association of gut microbiome features for schizophrenia

精神疾患において腸脳相関(gut-brain axis)が重要な役割を果たしていることが明らかになってきており、将来的な介入の基礎となるようなメカニズムの研究が求められている。しかし、治療を受けていない患者のメタゲノムデータは少なく、腸内細菌叢と脳との複雑な相互作用の解析は困難であった。本研究では、薬物治療を受けていない統合失調症患者90名と対照群81名の糞便中の微生物を調査し、患者と対照群を区別する細菌種を同定した(AUC=0.896)。統合失調症に関連する可能性が示された代謝機能としては、短鎖脂肪酸合成、トリプトファン代謝、神経伝達物質の合成/分解が挙げられる。統合失調症に関連する細菌Streptococcus vestibularisをマウスに移植すると、社会的行動の障害が誘発され、末梢組織の神経伝達物質レベルが変化した。今回の結果は、コホート研究や動物モデルを用いたさらなる研究のための新たな手がかりとなる。

 

著者名

Feng Zhu, Yanmei Ju, Wei Wang, Qi Wang, Ruijin Guo, Qingyan Ma, Qiang Sun, Yajuan Fan, Yuying Xie, Zai Yang, Zhuye Jie, Binbin Zhao, Liang Xiao, Lin Yang, Tao Zhang, Junqin Feng, Liyang Guo, Xiaoyan He, Yunchun Chen, Ce Chen, Chengge Gao, Xun Xu, Huanming Yang, Jian Wang, Yonghui Dang, Lise Madsen, Susanne Brix, Karsten Kristiansen, Huijue Jia, Xiancang Ma

文献名

Nat Commun. 2020 Mar 31;11(1):1612.

URL

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32567509/ 

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