適度なビールの摂取がヒトの腸内細菌叢と空腹時グルコースおよびβ細胞の機能へおよぼす影響

Influence of moderate beer consumption on human gut microbiota and its impact on fasting glucose and β-cell function.

 ビールは、社会的、宗教的、文化的な理由から何千年も前から世界中で消費されてきた飲料である。ビールにはポリフェノール化合物やフェノール酸が含まれており、人間の健康に良い影響を与える可能性がある。本研究は、ビールの適度な消費が人間の健康と腸内細菌叢の多様性に与える影響を検討することを目的とした。ノンアルコールビール(NAB)またはアルコールビール(AB)を各研究で被験者に30日間毎日355mL 摂取させた。身体測定、生化学のための血液サンプル、および細菌叢解析のための糞便サンプルを 1 日目と 30 日目に採取した。細菌叢の多様性は、16S rDNAライブラリーのハイスループットシーケンシングによって特徴づけられ、データはQIIMEパイプラインを用いて解析された。NABとABは腸内マイクロバイオータの組成に影響を与え、Firmicutesに対してBacteroidetesの増殖を有利にすることがわかった。体重、ウエスト、ヒップパラメータの増加は観察されず、肝臓および脂質プロファイル値はNABでは変化がなかった。また、NABの摂取では空腹時血中血清グルコースの低下と機能性β細胞の増加が認められたのに対し、ABの摂取では血中血清グルコースの上昇と機能性β細胞の減少が認められた。総じて、ビールの摂取は体格値に変化はなく、肝機能にも影響を与えなかった。ブドウ糖値は、NABでは減少し、ABでは増加したが、正常範囲内にとどまった。我々の結論は、NABの適度な摂取は、生物学的に活性なポリフェノールとフェノール酸を補い、有益な細菌により腸内細菌叢の多様性が豊かになることで、ヒトの健康に良い効果があるが、ABに含まれるアルコールの存在はこの効果を阻害するということである。一般的な結論を出す前に、このトピックについてさらに研究が行われるべきである。

 

著者名

Fernando Hernández-Quiroz, Khemlal Nirmalkar, Loan Edel Villalobos-Flores, Selvasankar Murugesan, Yair Cruz-Narváez , Enrique Rico-Arzate, Carlos Hoyo-Vadillo , Alejandra Chavez-Carbajal, María Luisa Pizano-Zárate, Jaime García-Mena

文献名

Alcohol, Volume 85, June 2020, Pages 77-94 . 

URL

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0741832919300680?via%3Dihub

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