乳化剤カルボキシメチルセルロースの無作為化摂食試験により、腸内細菌叢およびメタボロームへの有害な影響が判明

Randomized Controlled-Feeding Study of Dietary Emulsifier Carboxymethylcellulose Reveals Detrimental Impacts on the Gut Microbiota and Metabolome

【背景と目的】
疫学的研究およびマウスを用いた研究から、食事性乳化剤は微生物叢の異常と関連した疾患の発症を促進することが示唆されている。これらの化合物が腸内細菌叢および腸の健康に有害な影響を及ぼすことは動物およびin vitroモデルで実証されているが、健康なヒトにおけるこれらの食品添加物の影響についてはまだ十分に解明されていない。

【研究方法】
ヒトにおけるこの概念を検討するため、我々は、健康な成人に乳化剤無添加食(n = 9)またはCMCを1日あたり15g添加した同一食(n = 7)を11日間摂取させ、どこにでもある合成乳化剤カルボキシメチルセルロース(CMC)の二重盲検比較摂食試験を実施した。

【結果】
CMCの摂取は、対照群と比較して、食後の腹部不快感をわずかに増加させ、腸内細菌叢の多様性を低下させる形で腸内細菌叢の構成を変化させた。さらに、CMC摂取者は糞便中のメタボロームに変化を示し、特に短鎖脂肪酸と遊離アミノ酸の減少が見られた。さらに、CMCを摂取した2名の被験者では、腸内炎症の中心的な特徴である通常は無菌である内側粘液層への微生物叢の侵入が増加し、微生物叢の組成が著しく変化したことが確認された。

【結論】
これらの結果は、加工食品におけるCMCの広範な使用が、腸内細菌叢およびメタボロームを変化させることにより、一連の慢性炎症性疾患の有病率上昇に寄与している可能性があるという考え方を支持するものである。

 

著者名

RChassaing B, Compher C, Bonhomme B, et al.

文献名

Gastroenterology, 2022, 162(3): 743-756

URL

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0016508521037288

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