腸内細菌は宿主の食事選択行動に影響を与える

The gut microbiome influences host diet selection behavior

食事選択は、生態学的・進化学的に多くの意味を持つ行動であると考えられている。そのメカニズムは複雑であるが、必須栄養素の有無は食事選択行動に強い影響を与えている。腸内細菌はこれらの栄養素を代謝することから、宿主の食事選択に対して影響を与えている可能性があった。本研究では、採餌戦略の異なる3種のげっ歯類の腸内細菌叢を定着させた無菌マウスが、主要栄養素の組成が異なる餌を選択することを明らかにした。具体的には、草食動物型マウスは自発的にタンパク質:炭水化物(P:C)比の高い食事を選択し、雑食動物型マウスと肉食動物型マウスはP:C比の低い食事を選択した。また、トリプトファン代謝に関わる細菌遺伝子数と食事選択試験前の血漿トリプトファン濃度、自発的な炭水化物摂取の間に相関関係があり、セロトニンの前駆体であるトリプトファンが食事選択を制御するシグナルであるというこれまでの仮説を支持するものであった。さらに、草食動物型マウスは、微生物発酵に関連する腸内区画を大きくなっており、ドナーの腸の形態を反映していた。これらの結果から、腸内細菌叢は、おそらく必須アミノ酸の供給を介して、宿主の採食行動に影響を与えていることを明らかにした。

 

著者名

Brian K. Trevelline and Kevin D. Kohl

文献名

Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 2022 Apr 26;119(17):e2117537119

URL

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35439064/

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