高脂肪食によるエクソソームのホスファチジルコリンのアップレギュレーション(割合増加)は、インスリン抵抗性に寄与する

High-fat diet-induced upregulation of exosomal phosphatidylcholine contributes to insulin resistance

高脂肪食(HFD)はインスリン感受性を低下させます。高脂肪食がどのようにしてインスリン抵抗性を引き起こすのかは、ほとんど分かっていません。本研究では、高脂肪食を与えた肥満マウスやII型糖尿病患者の糞便から分離したエクソソームを投与すると、痩せたマウスがインスリン抵抗性になることを明らかにしました。HFDはエクソソームの脂質組成を変化させ、痩せた動物のエクソソーム(L-Exo)では主にホスファチジルエタノールアミン(PE)が、肥満した動物のエクソソーム(H-Exo)ではホスファチジルコリン(PC)が多くなりました。メカニズム的には、腸内のH-Exoがマクロファージや肝細胞に取り込まれ、インスリンのシグナル伝達経路が阻害されることを示しています。さらに、エクソソーム由来のPCは芳香族炭化水素受容体(AhR)に結合して活性化し、IRS-2やその下流の遺伝子であるPI3K、Aktなど、インスリンシグナル伝達経路の活性化に不可欠な遺伝子の発現を抑制します。以上の結果から、HFDに起因するエクソソームは、インスリン抵抗性の発症に寄与する可能性があることが明らかになりました。このように、腸内エクソソームは幅広い治療標的として期待されます。。

※H.U.グループ中央研究所では、Exosome研究にも注力し活動しています。詳しくは弊社HPをご覧ください。

https://www.hugp.com/research/exosome_JA.html

著者名

Anil Kumar, Kumaran Sundaram, Jingyao Mu, Gerald W. Dryden, Mukesh K. Sriwastva, Chao Lei, Lifeng Zhang, Xiaolan Qiu, Fangyi Xu, Jun Yan, Xiang Zhang, Juw Won Park, Michael L. Merchant, Henry C. L. Bohler, Baomei Wang, Shuangqin Zhang, Chao Qin, Ziying Xu, Xianlin Han, Craig J. McClain, Yun Teng & Huang-Ge Zhang.

文献名

Nature Communications volume 12, Article number: 213 (2021) 

URL

https://www.nature.com/articles/s41467-020-20500-w

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