睡眠の断片化は血圧を上昇させ、腸内マイクロバイオームと糞便メタボロームの変化と関連している

Sleep fragmentation increases blood pressure and is associated with alterations in the gut microbiome and fecal metabolome in rats.

 腸内微生物は、血中に入る代謝物の産生を介して、血圧の調節に役割を果たしている。また、血圧は睡眠の特性によっても影響を受ける。これまで、腸内細菌叢/代謝物と血圧、睡眠との関連を検討した研究はなかった。我々は、睡眠断片化が平均動脈圧の上昇、腸内微生物叢の変化と関連していること、および糞便代謝物の変化と関連していると仮説を立てた。我々のモデル系では、ラットは、28日間連続して、休息期に8時間の睡眠断片化を行う群と何もしなかった群 (Control) に無作為に割り付けた。ラットは睡眠と血圧の記録をされ、糞便サンプルを下記期間に分け分析した:ベースライン(4日前から1日前)、早期睡眠断片化(0日目から3日目)、中期睡眠断片化(6日目から13日目)、後期睡眠断片化(20日目から27日目)、および回復/安静時(28日目から34日目)。睡眠断片化期間中の1時間あたりの睡眠量の減少は、平均動脈圧の上昇と関連していた。腸内細菌叢および代謝物の解析から、短鎖脂肪酸産生細菌は、中・後期睡眠断片化および回復期の間、対照動物と介入動物の間で異なる頻度で存在していたことが明らかになった。介入ラットでは、中間睡眠断片化は、アルファ多様性の低下、Firmicutes:Bacteroidetesの比率の低下、およびProteobacteriaの増加といった特徴があった。また、サクシネート産生菌および酢酸産生菌の上昇は、それぞれ平均動脈圧の低下および上昇と関連しており、アンターゲットメタボロミクス解析では、特定の糞便代謝物が血圧と有意に相関していることが示された。これらのデータは、睡眠の断片化、平均動脈圧、および腸内微生物/糞便メタボロームとの関連を明らかにし、乱れた睡眠と心血管疾患との関連についての洞察を提供している。

 

著者名

Maki KA, Burke LA, Calik MW, Watanabe-Chailland M, Sweeney D, Romick-Rosendale LE, Green SJ, Fink AM.

文献名

Physiol Genomics. 2020 Jul 1;52(7):280-292.

URL

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32567509/ 

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