食品中の無機ナノ粒子の腸内細菌叢-免疫相関への影響:宿主の健康への潜在的な影響

Impacts of Foodborne Inorganic Nanoparticles on the Gut Microbiota-Immune Axis: Potential Consequences for Host Health.

【背景】

 食品毒性学では、宿主の健康におけるこれらの微生物群集の重要かつ複雑な生理的役割のため、食品由来のナノ粒子(NPs: 食品添加物、食品補助食品、または食品包装に由来するナノ粒子)が腸内マイクロバイオームに及ぼす影響を研究することに関心が高まっている。近年報告されているように、ほとんどの無機および金属のNPsの生物殺生活性は、免疫機能上の結果と常在菌の組成および/または代謝活動(すなわち、腸内ディスバイオシス)の慢性的な変化を支持する可能性がある。逆に、免疫系(例えば、炎症反応、アジュバントまたは免疫抑制特性)とNPsの直接的な相互作用は、順番に腸内細菌叢に影響を及ぼす可能性がある。ヒトの多くの慢性疾患は、炎症性腸疾患(IBD)(クローン病や潰瘍性大腸炎)、代謝性疾患(例えば、肥満)や大腸がん(CRC)などの微生物-免疫系相関に沿って変化に関連付けられている。これは、無機NPの慢性的な食事暴露は、疾患の発症および/または進行を促進する危険因子として見られるかもしれないという問題を提起している。マイクロバイオータ-免疫相関に沿って効果の様々な解読は、様々な食品を通じて無機NPsへの毎日の暴露が潜在的にそれ故に宿主の脆弱性を増加させ、腸内細菌と免疫との間の複雑な対話を乱す可能性の理解を助けるかもしれない。動物実験では、経口治療の用量レベルと持続時間は、ヒトが日常的に食事を通して曝露されているか、または曝露される可能性がある曝露条件を模倣するための重要な要因であり、食品由来のNPの危険性の識別とリスク評価のために必要とされている。本レビューでは、腸内微生物-免疫軸を考慮した予測毒性学的モデルの開発をサポートするために、関連する研究を要約している。

【結論】

 無機 NP は腸内の免疫機能障害を誘発することに加えて、腸内マイクロバイオータの組成と活性に中程度から広範囲に影響を与える。その結果、IBD、CRC、肥満で観察されるような、有益な細菌株を犠牲にして病原菌の腸内のコロニー形成を有利にするといった再発サインを強調するということを本報告では示す。食品を介した長期暴露を考慮すると、腸内マイクロバイオームに対するNPの影響は、特にナノ材料が抗菌特性を示す場合には、人間の健康リスク評価において考慮されるべきである。

 

著者名

Lamas B, Martins Breyner N, Houdeau E.

文献名

Part Fibre Toxicol. 2020 Jun 1;17(1):19

URL

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6412946/

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