食事性糖質が誘導するアンバランスなマイクロバイオータは、腸管免疫を介したメタボリックシンドロームの予防機能を低下させる

Microbiota imbalance induced by dietary sugar disrupts immune-mediated protection from metabolic syndrome

腸内細菌がどのようにメタボリックシンドロームを制御しているかはまだ十分に分かっていない。本研究では、腸内細菌が常在菌特異的なTヘルパー17 (Th17) 細胞を誘導することによって、肥満やメタボリックシンドローム、糖尿病予備軍の表現型の発症を抑制することを明らかにした。高脂肪・高糖質食はTh17誘導微生物を枯渇させることでメタボリックシンドロームを進行させるが、Th17細胞の回復により抑制機能を取り戻した。微生物によって誘導されたTh17細胞は、IL-17依存的に腸管上皮からの脂質吸収を調節することで抑制機能を発揮した。また、糖質の存在は食事性のTh17細胞の予防機能をより低下させた。高脂肪食から糖質を除くと、Th17細胞依存的な経路でマウスの肥満およびメタボリックシンドロームの発症を防止した。糖質とILC3はFaecalibaculum rodentiumを増加させ、Th17誘導微生物を排除した。これらの結果は、メタボリックシンドロームのリスクとなる食事とマイクロバイオータの関連性を明らかにする。食事性糖質のマイクロバイオータ依存的な免疫病原性のメカニズムを解き明かし、メタボリックシンドロームに関する食事とマイクロバイオータ、腸管免疫の間の精巧な相互作用を浮き彫りにする。

 

著者名

Kawano Y, Edwards M, Huang Y, Bilate AM, Araujo LP, Tanoue T, Atarashi K, Ladinsky MS, Reiner SL, Wang HH, Mucida D, Honda K, Ivanov II.

文献名

Cell. 2022 Aug 24:S0092-8674(22)00992-8.

URL

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36041436/

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