乳酸代謝を介して機能する能力増強微生物をエリートアスリートのメタオミクス解析により同定

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Meta-omics analysis of elite athletes identifies a performance-enhancing microbe that functions via lactate metabolism.

  腸内微生物叢は、人間の健康状態や病気の多くの状態と関連しています。腸内菌叢の代謝レパートリーは多数ありますが、これらの細菌が関わる経路の健康に関する意義はよくわかっていません。本研究では、Veillonella属菌と運動パフォーマンスの関係を明確にしました。マラソン後のマラソンランナーにおいてVeillonella相対量の増加を観察し、便試料からVeillonella atypicaの株を単離しました。この株をマウスに接種すると、消耗的トレッドミルの走行時間が著しく増加することがわかりました。Veillonellaは乳酸を単一炭素源として利用することから、エリートアスリートのコホートでショットガンメタゲノム解析を行ったところ、乳酸をプロピオン酸に代謝する主要経路のすべての遺伝子が運動後に相対的に高くなっていることがわかりました。また、13C3標識の乳酸を用いて、血清の乳酸が腸管上皮バリアを通過し腸管ルーメンに到達することを確認しました。また、プロピオン酸の直腸内点滴注入でもV.atypica投与で観察されたトレッドミル実行時間性能の増加を再現することができました。総合すると、これらの研究はV.atypicaが運動によって乳酸からプロピオン酸への代謝の転換を介して走行時間をアップさせた、つまり微生物叢にコードされた酵素プロセスが運動能力を高めることを明らかにしました。

著者名

Scheiman J, Luber JM, Chavkin TA, MacDonald T, Tung A, Pham LD, Wibowo MC, Wurth RC, Punthambaker S, Tierney BT, Yang Z, Hattab MW, Avila-Pacheco J, Clish CB, Lessard S, Church GM, Kostic AD.

文献名

Nat Med. 2019 Jun 24.

URL

https://www.nature.com/articles/s41591-019-0485-4

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